こんばんは。
今回は、米国株投資を行うにあたって重要な指標についてです。
プロのトレーダーは指標発表時刻に張り付いて、発表と同時にトレードしています。
指標発表と同時に株価や為替がドンと動くことも結構あります。
そこで、いくつかこれは押さえておきたい指標をご紹介します。
雇用統計
米国の雇用統計は、毎月第1金曜日に米労働省の労働統計局(BLS)が発表します。
主な雇用統計指標
① 非農業部門雇用者数(NFP: Non-Farm Payrolls)
- 重要度:★★★★★
- 内容:農業を除く全産業の雇用者数の増減を示す
- 影響:予想より増加→景気が良い(株価・ドル高)
予想より減少→景気が悪い(株価・ドル安)
② 失業率(Unemployment Rate)
- 重要度:★★★★☆
- 内容:労働力人口(働く意欲のある人)のうち、職がない人の割合
- 影響:失業率が低下→景気が良い(FRBの利上げ期待でドル高)
失業率が上昇→景気悪化の懸念(ドル安、株安)
③ 平均時給(Average Hourly Earnings)
- 重要度:★★★★☆
- 内容:労働者の平均賃金の伸びを示す
- 影響:賃金が上昇→インフレ懸念(FRBの利上げ観測、ドル高)
賃金が停滞→景気減速(利下げ観測、ドル安)
④ 労働参加率(Labor Force Participation Rate)
- 重要度:★★★☆☆
- 内容:労働年齢人口のうち、実際に働くか求職している人の割合
- 影響:労働参加率が上昇→労働市場の改善(景気良好)
低下すると隠れ失業者の増加を示唆
⑤ 新規失業保険申請件数(Initial Jobless Claims)
- 重要度:★★★☆☆
- 内容:毎週発表される、失業保険を申請した人の数
- 影響:申請件数が増加→雇用環境の悪化(景気悪化懸念)
減少→雇用環境の改善(景気回復期待)
雇用統計の市場への影響
- 株式市場
雇用統計が良好 → 景気回復期待で株価上昇
雇用統計が悪化 → 景気減速懸念で株価下落 - 外国為替市場(ドル円など)
雇用統計が強い → FRBの利上げ期待でドル高
雇用統計が弱い → FRBの利下げ期待でドル安
ISM
ISM(Institute for Supply Management)とは、米国の製造業・非製造業の景況感を示す経済指標を発表する機関です。ISM指数は景気の先行指標として注目され、特に米国の株式市場・為替市場に大きな影響を与えます。
① ISM製造業景況指数
- 発表時期:毎月第1営業日
- 対象:製造業(約300社の購買担当者のアンケート)
- 数値の意味:
- 50以上 → 景気拡大(製造業が成長)
- 50未満 → 景気後退(製造業が縮小)
- 影響:
- 指数が高い → 景気回復期待(株高・ドル高)
- 指数が低い → 景気後退懸念(株安・ドル安)
② ISM非製造業景況指数
米国経済の約7割がサービス業のため、非製造業指数の方が重要視されることも
発表時期:毎月第3営業日
対象:非製造業(サービス業など約400社の購買担当者)
数値の意味:
50以上 → サービス業の拡大(景気が良い)
50未満 → サービス業の縮小(景気悪化の可能性)
影響:米国経済の約7割がサービス業のため、非製造業指数の方が重要視される傾向
ISM指数の重要ポイント
- 50が分岐点 → 50を上回ると景気拡大、下回ると景気後退
- 新規受注・雇用・生産の動向を確認 → 先行指標として投資家に注目される
- FRB(米連邦準備制度)の金融政策に影響
- ISM指数が好調 → FRBの利上げ観測が強まり、ドル高・株安の可能性
- ISM指数が悪化 → FRBの利下げ観測が強まり、ドル安・株高の可能性
小売売上高
小売売上高は、全米の小売業者(スーパー、百貨店、ECなど)の売上を集計した経済指標で、消費者の購買意欲を測る重要なデータです。米国では、毎月中旬に米商務省が発表します。
小売売上高のポイント
- 消費の動向を示す重要指標
- 米国のGDPの約7割は個人消費 → 小売売上高の増減が景気を左右する
- 季節調整済みのデータ
- クリスマス商戦などの影響を除いて調整
- 速報値が市場に影響を与えやすい
- 速報値は翌月の中旬に発表され、市場の反応が大きい
- インフレとの関係
- 売上が増加 → 景気拡大・インフレ圧力(利上げ要因)
- 売上が減少 → 景気減速・インフレ鈍化(利下げ要因)
市場への影響
- 小売売上高が増加 → 消費が活発 → 株高・ドル高(利上げ観測強まる)
- 小売売上高が減少 → 消費低迷 → 株安・ドル安(景気悪化懸念)
JOLTS(米雇用動態調査)
JOLTS(Job Openings and Labor Turnover Survey)は、米国の雇用市場の需給バランスを示す指標で、米労働省が毎月発表します。企業の求人件数・採用・離職などの動向を示し、特にFRB(米連邦準備制度)や投資家が労働市場の強さを判断するために注目する指標の一つです。
JOLTSの主な項目
- 求人件数(Job Openings)
- 企業が募集している職の件数
- 求人が多い → 労働需要が高い(景気が良い)
- 求人が減る → 労働需要が低下(景気減速の兆し)
- 採用件数(Hires)
- 実際に雇用された人数
- 採用が多いと労働市場が活発と判断
- 離職者数(Total Separations)
- 自主退職(Quits) → 労働者がより良い仕事を求めて辞める
- 自主退職が多い=景気が良い(転職しやすい)
- 自主退職が減る=景気が悪化(転職が難しい)
- 解雇(Layoffs) → 企業の人員削減
- 解雇が増える=景気悪化の可能性
- 自主退職(Quits) → 労働者がより良い仕事を求めて辞める
市場への影響
求人が減る(労働市場が冷え込む)
→ FRBの利下げ期待高まる → ドル安・株高の可能性
求人が多い(労働市場が強い)
→ FRBの利上げ継続観測強まる → ドル高・株安の可能性
CPI(消費者物価指数)
CPI(Consumer Price Index、消費者物価指数)は、消費者が購入するモノやサービスの価格変動を測る指標であり、インフレ率(物価の上昇・下落)を示す最も重要な経済指標の一つです。米労働統計局(BLS)が毎月発表します。
CPIの主な種類
- 総合CPI(Headline CPI)★★★★☆
- 食品・エネルギーを含む全体の物価指数
- ガソリン価格や食品価格が大きく影響するため、変動が激しい
- コアCPI(Core CPI)★★★★★(FRBが特に注目)
- 食品・エネルギーを除いたCPI
- FRB(米連邦準備制度)が特に重視する指標
- インフレの基調を把握しやすい(一時的な価格変動の影響を除外)
CPIの数値の意味
- CPIが上昇(インフレ)
→ 物価が上昇し、購買力が低下
→ FRBが利上げを検討(金融引き締め)
→ ドル高・株安の可能性 - CPIが低下(デフレ・インフレ鈍化)
→ 物価が下がり、景気減速の可能性
→ FRBが利下げを検討(金融緩和)
→ ドル安・株高の可能性
市場への影響
- CPIが予想以上に上昇(インフレが加速)
→ FRBの利上げ継続観測が強まり、金利上昇 → 株安・ドル高の傾向
- CPIが予想以下(インフレ鈍化)
→ FRBの利下げ期待が高まり、金利低下 → 株高・ドル安の傾向
まとめ
以上、今回は4つの指標をご紹介しました。
最後に、それぞれの指標の重要度と概略を以下にまとめます。どれも重要な指標ですので、発表が近くなったら、市場予想はどれくらいなのか、その後、発表されたら予想との乖離はどれくらいか、上振れか下振れかどうかを分析して、市場動向に与える影響を捉えていきましょう。
経済指標の重要度ランキング(★★★★★)
指標名 | 重要度 | 説明 |
---|---|---|
CPI(消費者物価指数) | ★★★★★ | インフレ率を測る最重要指標。FRBの金融政策に大きく影響。 |
雇用統計(NFP) | ★★★★★ | 雇用の増減や失業率を示す。景気判断やFRBの利上げ・利下げに直結。 |
ISM製造業・非製造業指数 | ★★★★☆ | 景気の先行指標として注目。特に「50」を超えるかが重要。 |
JOLTS(求人労働異動調査) | ★★★★☆ | 雇用市場の需給を示し、労働市場の強さを判断する指標。 |
今回は以上です。それでは。
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