米国株の買い時を見極める5指標|決算ビート銘柄で勝つファンダメンタル分析

米国株

米国株に投資するうえで大切なのは、派手なテーマに飛びつくことよりも「企業が実際にどれだけ成長しているか」を数字で確かめる姿勢です。私はいつも五つの指標で候補銘柄をふるいにかけ、最後に決算予想をビートしているかどうかで買いか見送りかを判断しています。本稿では、その最低限押さえたいポイントを具体例を交えながら紹介します。数字が苦手な方でも読めるよう約1500字に収めましたので、取引前のチェックリストとしてご活用ください。

売上高成長率 ― トップラインが伸びていなければ始まらない

最初に見るのが売上高成長率です。米国市場では年率10%超の伸びは珍しくありません。逆に言えば、そのラインを割り込む企業は他の銘柄に比べて魅力が薄いとシンプルに判断できます。トップラインが伸びない会社に、中長期で株価が大きく上昇するストーリーは描きにくいからです。

EPS成長率 ― 利益の伸びが株価を直接押し上げる

売上が増えてもコストが膨らめば最終利益は残りません。EPS(一株当たり当期純利益)は経営効率を含めた「最終的な稼ぐ力」を示すため、株価へ与える影響が大きい指標です。こちらも年率10%以上の伸びを一つの目安にしています。EPSが鈍化している企業の株価は、どこかで頭打ちになりやすいのが現実です。

営業キャッシュフロー成長率 ― 現金は企業の素顔を映す

「営業利益ではなくキャッシュフロー?」と疑問に思うかもしれませんが、現金の流れは粉飾や会計基準の違いといったノイズを取り除いた“事実”を示します。本業が本当に強いかどうかを測るには、営業キャッシュフローが前年をしっかり上回っているかを確認することが欠かせません。

営業利益率の推移 ― マージンが改善してこそ質が高い

売上規模が急拡大しても、コストが同じ速度で増えれば純利益は薄まります。営業利益率が右肩上がり、またはエヌビディアのように高水準を維持できているかをチェックしましょう。マージンの改善は経営陣の手腕を映す鏡であり、景気の向かい風にも耐えうる企業を選ぶうえで重要な判断材料になります。

決算予想ビート ― 市場期待を超えて初めて評価される

機関投資家はアナリストコンセンサスを基準にサプライズの有無を測ります。市場予想を上回った企業は決算翌日以降も買いが継続しやすく、最高値圏でも株価が走るケースが多いです。一方、たとえ前年同期比で増収増益でも予想を下回れば“失敗決算”とみなされ、二週間、三週間と売りが続くこともしばしば。短期のリバウンド狙いで飛びつくより、需給が落ち着くまで静観するほうがリスクを抑えられます。

五つのハードルをクリアした銘柄だけを残す

  1. 売上高成長率:10%以上
  2. EPS成長率:10%以上
  3. 営業キャッシュフロー:前年超え
  4. 営業利益率:改善または高水準維持
  5. 決算予想ビート:必須条件

これらをすべて満たす企業は、成長性と収益性の両面で市場期待を超える“強者”だけです。「割安だから」という理由だけで資金を投じると、せっかくの機会コストを消耗しかねません。

なお、ここで挙げた数値基準はあくまで目安です。業界特性やビジネスモデルによって適切な水準は変わります。たとえば高成長のSaaS企業は売上が年率20%を超える代わりに当面は赤字でも許容されますし、公益株のように低成長でも安定したキャッシュフローを武器に厚い配当を約束できる業態もあります。大切なのは、その企業のどこに価値を見いだしているのかを、自分の言葉で数字と結び付けて説明できる状態にしておくことです。

次の決算シーズンが来る前に、ぜひご自身のウォッチリストをこの五つの物差しで測り直してみてください。数字は嘘をつきませんし、決算をきっかけに生じたトレンドは想像以上に長く続きます。成長とサプライズの二軸で選び抜いたポートフォリオは、ボラティリティの高い米国市場でも心強い羅針盤になってくれるはずです。

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