エヌビディア決算速報:AIブームが映す“光と影”

米国株

AI半導体の覇者エヌビディア(NVDA)は日本時間5月29日早朝、2026年度第1四半期(2〜4月)の決算を発表しました。売上高は前年同期比+69%の441億ドル、データセンター売上は391億ドルで同+73%。生成AI向け「Blackwell」世代GPUへの引き合いが想定以上に強く、市場予想(Bloombergコンセンサス4,330億ドル)を上回る“ビート”です。

今朝(5月29日)の東京時間で発表されたエヌビディア(NVDA)2026年度第1四半期(2–4月)決算は、市場期待を再び上回りました。売上高は441億ドル(前年同期比+69%)、データセンター売上は391億ドル(同+73%)で、ともに過去最高を更新しています。もっとも、米政府の対中輸出規制でAI向け「H20」チップの在庫評価損45億ドルを計上したため、GAAP EPS は0.76ドルにとどまりましたが、特殊要因除き0.96ドル相当とみられます。

アフターマーケットの反応:株価は時間外で3〜5%高

発表直後、時間外取引でNVDA株は**+3%前後**(140ドル台、昨年10対1株式分割後ベース)まで急伸しました。ガイダンスがやや弱含みだったにもかかわらず、「中国ショック」が想定より小さいとの安心感と、次世代Blackwellへの期待が買いを誘った格好です。

ガイダンスとリスク:輸出規制で80億ドル逆風、でも売上は堅調

同社は第2四半期(5–7月)の売上高を450億ドル±2%と予想。中国向け売上が約80億ドル吹き飛ぶ計算ですが、それでも前四半期比プラスを維持できる見込みです。粗利益率も72%前後と高水準を示唆し、AI需要の強さが際立ちます。とはいえ、規制強化が長期化すればH20後継チップの開発・投入タイミングが一段と重要になりそうです。

株価見通し:短期的には「イベントドリブン」、中長期はAIインフラの成長ストーリー

  • 短期(〜3か月)
    • 決算通過で上値は150ドル強の年初来高値(テクニカル節目)を試しやすい。
    • ただし米CPIやFOMCなど金利イベント次第でハイベータ株は乱高下しやすく、130ドル台前半が下値メド。
  • 中期(6–12か月)
    • Blackwell搭載システムの量産と、北米・中東での**“ギガワット級”AIデータセンター構想**が実需を底上げ。
    • 一方、AMD・インテルのAI GPU参入、および**顧客自社設計チップ(Google TPU、AWS Trainium等)**が粗利率の天井を押し下げるリスク。
  • 長期(1年以上)
    • 世界各国がAIを社会インフラに位置づける流れは不変。生成AIの“推論量10倍”ペースが続けば、2028年までは市場全体が年率20〜25%で拡大するとの試算も。NVDAは依然として「AIコンピューティングのOS」と評価でき、成長プレミアムは維持されやすい。

ブロガーが注目したいチェックポイント

  1. 粗利率の回復度合い
    1Qは一時的に60%台前半まで落ち込んだが、2Qに72%台回復できるかが分水嶺。
  2. 中国以外の需要分散
    中東・ASEAN・南米向け大型案件の受注進度で、地域分散の実効性を測れる。
  3. Blackwell対抗製品の競合動向
    AMD「MI350」「MI400」やインテルGaudiシリーズのコスト/性能比に注目。
  4. 株主還元の強化余地
    2024年に実施した10対1分割と小幅配当増は個人投資家層を拡大。今後の自社株買いがEPS下支え材料に。

まとめ
決算数字そのものは想定以上、輸出規制リスクも“織り込み済み”で株価は上方向に反応しました。ただしガイダンスには慎重なトーンも混在し、短期はイベントドリブンで振れやすい地合いが続きそうです。中長期ではAIインフラ需要が世界的に伸び、NVDAが依然“王者”ポジションを保つ可能性が高いと判断します。投資家は粗利率と地域別売上の推移を注視しつつ、押し目形成局面での分散買い戦略を検討すると良いでしょう。


本稿は公式プレスリリースおよび主要メディア報道を基に整理・検証しました。記事内容は投資助言を目的とするものではありません。

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