1. 今回のコンセンサス予想
ウォール街では売上高 4,270〜4,326億ドル、EPS 0.73〜0.88ドルがメインシナリオです。FactSet 集計では上限寄りの 0.88 ドル/4,326 億ドル、Kiplinger は 0.73 ドル/4,320 億ドルを提示し、Nasdaq は 4,271 億ドルを想定しています。会社側ガイダンスは「43 0±2% 億ドル」で、在庫評価損 55 億ドルの影響を含みつつも AI 需要の強さが続くとの見方です。
注目ポイント
- データセンター売上が全体の 7 割超を占めるか
- 中国向け輸出規制によるシェア低下と在庫調整
- GTC で発表済みの NVLink Fusion や Blackwell 世代の受注状況
2. 過去3回の決算と株価リアクション
決算 | 発表日 | 売上高 (YoY) | EPS (GAAP) | 翌営業日の株価 | 主因 |
---|---|---|---|---|---|
Q2 FY25 | 2024/8/28 | 3.0 兆円 (+122%) | 0.67 ドル | -6.4% | 売上・EPSはビートしたものの、 ① 粗利率ガイダンスが75%前後と鈍化予想 ② Blackwell量産がQ4へ後ろ倒し ──「伸び率が物足りない」との失望売りが優勢 |
Q3 FY25 | 2024/11/20 | 3.5 兆円 (+94%) | 0.78 ドル | -2.3%(時間外) | 決算自体は好調だが、 ① 次四半期売上見通しが“やや上”程度 ② Blackwell発売待ちで〈材料出尽くし〉感が広がり、短期筋が利益確定 |
Q4 FY25 | 2025/2/26 | 3.93 兆円 (+78%) | 0.89 ドル | -8.0% | ① 24年度で3桁成長が一服・粗利率71%へ低下予告 ② 中国向け輸出規制とDeepSeek台頭で競争激化懸念 ──今後の伸び鈍化が意識され大幅下落 |
傾向まとめ
- 実績は常にビートするが、ハードルが高すぎると売られる
- 決算翌日の値幅は ±2〜8% と高ボラティリティ
- 中期では AI 投資テーマが再評価され、急落後の戻りも早い
3. 5月28日に向けたシナリオ分析
強気シナリオ
- 生成AIインフラ需要が加速し、売上ガイダンスが再び 50 0億ドル台へ
- Blackwell GPU の量産スケジュールが前倒しで示される
- 中国以外のクラウド各社による“駆け込み発注”が可視化
→ 株価は 10%前後の上昇も視野。
中立シナリオ
- コンセンサス通りの数値で、ガイダンスも ±2% の範囲
- 在庫評価損が一過性と強調されるが、粗利率は横ばい
→ 値動きは ±3%以内で推移、AIブーム全体の牽引役は継続。
弱気シナリオ
- 米国の追加輸出規制が影響し、データセンター成長率が 50% 未満へ鈍化
- 粗利率ガイダンスが市場予想を下回る
- 競合 AMD・インテルの新 AI チップ納入が顧客分散を加速
→ 5〜10%超の下落も。直近 3 決算と同様、失望売りが先行。
まとめ
エヌビディアの決算発表は AI バブルの温度計。過去 3 回は好決算でも“高すぎる期待値”が株価を押し下げました。今回は 売上 4.3 兆円突破が見込まれる一方、粗利率と在庫調整が注目点。短期トレードならボラティリティに備えつつ、中長期では AI インフラの構造的成長をどう評価するかが鍵になります。決算当日のアフター取引から翌日寄り付きまで、板の薄い時間帯の値動きには要警戒です。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
コメント